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剣豪・剣聖の伝記など
江戸の道場主についてもう少し詳しく調べたいと思って剣術関連の史料を探すことに。

◆筑摩書房「日本史の人物象9 剣客列伝」原田伴彦2000円 

日本史全12巻のうちの1冊。上泉信綱、塚原ト伝など有名な剣客の流祖から桃井春蔵、男谷精一郎、斉藤弥九郎、千葉周作などの人物伝が載っている。
桃井春蔵は明治2年ころの大阪府職員名簿に名前が載ってるそうで、その役職は「府兵局 監軍兼激剣師範」。府兵局というのは旧城付きの与力同心で組織した警察隊の前身「粋なマンテルズボンの浪華隊」というやつだそうな。当時の監軍吏級一等は知事の後藤象二郎など、吏級二等は判事の五代友厚、井上馨などで、兵級一等がなくて級二等が桃井ということになる。旧幕府軍の精鋭が薩長軍の新明治政府に転廻した訳だ。
そのあたりのいきさつは桃井の「後證遺言並追書」をもとに解説されており「濁り江に身は生ひぬれどはちす葉のこころはきよきものとこそしれ」の歌が載っている。

◆日本文芸社「日本剣豪こぼれ話・剣聖・剣豪の日常生活から思想・芸術まで」渡辺誠1400円

地元の史料を丁寧に当たったり、当地の人に話をきいたりした剣豪おもしろ談集。イサミンがどうしたとか桂さんがどうしたのの、幕末の剣豪のこまかい話が沢山載っている。バーチャルかもしれないが。

◆鱒書房・歴史新書「幕末剣豪傳」中澤みち夫1000円 

相馬大作、千葉周作、武市半平太、斉藤弥九郎、伊庭八郎というラインナップ。本人の伝記というよりまわりのエピソードが多く、斉藤弥九郎の章では錬兵館の人々と題して桂小五郎と幾松のラブラブ振りなんかも描かれている。参考文献が載っているので参考になるかも。
2001.08.01


古書は高いなあ。
最近、いわゆる古本ではなく、古書に手を出すようになったので、財政逼迫しています。旅行にも行くのに。ボーナスちゃんと出ますように。

◆「水戸藩末史料」武熊武30000円

いきなりお宝値段(汗)
文字通り、ペリー来航から水戸志士靖国神社合祀まで、水戸関連の事件が詳細に記録されている。浪士組に参加した芹沢鴨が何故京都残留を決めたのか、謎が解ける重要な史料。(たぶん)
上洛途中の水戸一行が岡崎まで来たとき、老中から帰東の達しが来たが、「これは頴慮による帰東命令にあらず、上京すべし」と桂小五郎からメッセージが届いたと書いてある。水戸と長州の関係を思わせる興味深い話だ。

◆「新撰組永倉新八」杉村義太郎28000円

杉村義衛十三回忌の折に関係者に配られた非売品。市販されている新撰組顛末記の原本。口絵に軍中法度書、新選組への感状などの写真が載っている。また山川健次郎、本山萩舟らの序文もある。

◆常野文献社「故老実歴水戸史談」高瀬真卿6800円

藤田東湖と結城虎寿に始まり、京都での水戸の動きを検証するのに重宝な一冊。もう少し詳しいといいのだが…。

◆新人物往来社「新選組大人名辞典・上下」14000円

定価で買うと19600円。下調べに重宝。このあいだお参りに行って来た粕谷新吾郎さんのお墓も載っていて、なかなかしっかり調べられている。細かい部分は先の水戸藩末史料と読み比べると面白い。芹沢鴨についても同じく、下村家のことも出てくる。ここに芹沢鴨の父として芹沢又右衛門が出てくるのだが、その人物は上記藩末史料によると、吉成恒次郎とともに上洛、京に滞留している。また大館謙三郎の記録にある「下村義次」は去年訪問した下村家の談によれば下村継次の義父ではないかとみられる。
いろいろ比べてみると面白いのだが、出典が不明なのが玉に傷。

◆中央公論社「歴史と人物・特集 幕末諸隊の戦い」300円

栗原隆一先生監修の幕末三五〇隊総覧が重宝。その他おなじみの諸隊が紹介されている。
2001.06.12


神保町と荻窪で
いつものことながら本屋さんに行く時間が遅いので毎日1時間ずつ見てまわり、一冊、また一冊と買ったものが積まれている。何を買ったか忘れないうちにちょっとずつ書いておこう。

◆改造社「天誅組」三上於兎吉500円

三上於兎吉は講談もので有名な作家。維新歴史関連の読み物を沢山書いている。天誅組はそのうちの一冊。口絵に孝明天皇の近影が載っていたり、中山忠光関連史跡の写真が載っていたりする。講談モノにしては史実に近づきすぎ、伝奇小説としての面白みにかけるかも…と書いている。概ね史料は久保田辰彦氏のももに拠った、とあり、巻末に年表が付記されている。彼が書いた清河八郎本を探しているのだが、手がかり無し。

◆下村書房「自奮自励 品川と雲井」高橋淡水1200円

品川弥ニ郎と雲居龍雄の伝記。雲井が2/3を占めている。維新期の志士を2名ずつ取り上げるシリーズモノの一冊。他に海舟と鉄舟、松蔭と左内、陸奥と星などがある。陸奥・星はちょっと読んでみたいかも。

◆旺文社文庫「幕末酒徒列伝」村島健一200円

のん兵衛に拠る幕末酒飲み話。無頼の艶福家伊藤博文の口説き酒、フェミニスト坂本竜馬のプラトニックドリンク、賢侯山内容堂恨みつらみの絡み酒、極めつけは「新選組非ノンベーを上司に持つ不幸」。なんだか裏表紙のイラストはお坊さんにチューする西郷ドンだし。

◆中公文庫「維新侠艶録」井筒月翁200円

幕末の芸妓と志士たちの艶話。品川楼の嘉志久さんやら小亀さんやら祇園の君尾さんやら幾松さんやら、幕末有名どころが沢山載ってる。高杉晋作、久坂玄瑞、めずらし処では中川宮様の話、近藤勇と君尾さんの話、巻末には清河ちゃんとお蓮さんの話も。
2001.05.29


海軍特集
久々に阿佐ヶ谷、高円寺界隈を廻ってみるとまとまって旧幕府軍海軍ものが沢山手に入った。あまり安くは無かったが、最近榎本武やんらには興味があるのでget、get。

◆新人物往来社「軍艦開陽丸物語」脇哲800円

江差の海に沈んだ開陽丸引き上げのときのレポートなどが載っている。あと榎本艦隊の詳細をまとめた一覧が重宝。

◆学芸書林「徳川艦隊北走記」石井勉800円

見返しのところに新聞記事が貼りつけてあって、開陽丸から引き上げられた金の延べ棒はメッキだった、という内容だった。 本のほうは大阪敗走から箱館まで戦う榎本艦隊の航程を詳細に書いている。遊撃隊の伊庭様も大活躍だ。

◆新人物往来社「新選組隊士列伝」新人物往来社編2800円

うう、高かったが毛内有之助さんの章がなかなか読み応えありだったので買っておくことに。でもよく読んでみるとこれと同様の記事が新選組研究最前線(上)にも載っていたようなきがするなあ…

◆常野文献社「水戸野史」郡司篤信2000円

著者は水戸徳川家重臣山野辺主水正の家臣である郡司仙蔵の子孫。立場上知り得たであろう、重要な文献であると思われる。長岡事件のあらましも書かれているが、これでは同事件の関係者は皆処刑されたことになっているのだが、本当は処刑されずに残った人たちもいたのだ。

◆民友社「近世日本国民史元治甲子禁門の役」徳富猪一郎1000円

これは全部で100冊以上あるシリーズのうちの1巻。丁度池田屋事件の頃のことも書かれているので買ってみたが西村兼文や木戸孝允ほか当時の文献を沢山引用していて面白い。

◆新人物往来社「幕臣航海記〜太平洋を渡る遣米使節」服部逸郎1000円

咸臨丸の話。(笑)
2001.1.22


新春古本市にて
年末年始は旅行に行かなかったので、近場のデパートで開催された古書市に行ってみた。デパートの催しって値段高めに設定してるんですかね?でも掘り出しものもあったので良しとしますか。

◆新人物往来社「子母沢寛全歴史エッセイ集1〜3 彰義隊始末・幕末の群像・任侠の世界」子母沢寛3600円 

もしかしたら文庫で出ているかも、と思ったが、彰義隊のあたりがどうしても欲しかったのでget。当の彰義隊の話は前半の戦の指揮をする人が居なかったのでめいめい好きなように戦ったとか書いてありました(爆)そうだったのか、彰義隊!あと、長州の広沢さんが雲井龍雄にずいぶん小遣いをくれた、なんていう細かいエピソードが。拾い読みしただけでも面白かった。また幕末の群像には中島登さんの話も出てくる。登さん、井上松五郎さんの実子だったんですか?本当??幸吉という名前で松五郎さんの次男だったそうだ。「会津から蝦夷へ落ち延びて行く時の苦しさったらまるで地獄の沙汰であった。三日も四日も食べるものが無くて道脇に落ちていた魚の頭や松の木の甘皮をはがして食ったものである。行きに比べて帰りはお大名のようであった」そうな。中島家では食べ物について一切小言を言ってはならないんだって。神道無念流の下りでは我らが芹澤鴨先生もちょと登場。3代目戸ヶ崎熊太郎はエライ美形だったそうです。新徴組の項では清河ちゃんも出てくる。

◆東洋書館「明治維新運動人物考」田中惚五郎4000円 

プレミア値段だったが、数少ない原市之進の項がどうしても読みたかったので買った。市之進さんは水戸にいるとき菁莪塾を開いていたと書いてあったが、菁莪塾は金子健四郎さんで、市ちゃんとこは伍軒塾である。相手の虚を突く作戦を駆使したために見方の襲撃を受けて死んだ、程度のことしか書かれていなかった。もっと彼の工作活動について知りたかったんですけど。別項で本間精一郎のことが書かれていたが清河ちゃんは本間さんが嫌いだったらしい。自分とキャラがかぶってたからだそうな。

◆東京大学出版会「野史臺維新史料叢書3」日本史籍協会編4000円 

プレミア値段だったが、このシリーズはなかなかバラで買えない。3には上書1として清河八郎の孝明天皇様へ上呈した封事が収められていて、これは原文は漢文であるものを読み下してあるありがたい書籍なのだ。松平主税助が浪士懐柔策を幕府に上申した上書も収めている。あと近藤勇の建白書四通と松平容保様の破約攘夷の建白を含む上書などが納められている。お宝お宝。

◆東京大学出版会「野史臺維新史料叢書5」日本史籍協会編4000円 

同じく5には容保様の建白書が収められている。文久2年閏8月に京都守護職を拝命して9月17日に赴任するにあたって長崎・函館・下田の3港以外の開港を拒絶し、御殿山公使館建設、府内の外国人遊歩を中止する旨が書かれている。あと、江藤新平が京都に脱走したとき藩府に上申された建白書も載っていた。

◆東京大学出版会「野史臺維新史料叢書32」日本史籍協会編4000円
これは詩歌集で長岡事件のときに芹澤鴨が所属していたグループのリーダー野口正安の詩歌集「鶯谷集」を収めている。そのほか天誅組のっ諸士の詩歌を収めた「大和一挙諸歌詩」、安政の大獄に連座した伊丹蔵人、山田勘解由、高橋大隈守、頼三樹三郎の詩歌を集めた四英獄窓唱和なども。

◆大和書房「高杉晋作と久坂玄瑞」池田諭600円 

久坂玄瑞は文久1〜2年頃清河八郎とよくコンタクトをとっていたはずなので史料を集めているのだが、それと判る記述はないみたいだ。航海遠略策について高杉と久坂が激論しており、祖のあたりが面白かった。

◆白川書院「坂本竜馬」川本直水1600円 

龍さんの本には重要な史料がよく含まれているのでチェックしてみたところ、見廻組の渡辺篤の遺書が写真付きで載っていたので興味を引かれた。写真が沢山載っていて楽しい。ヒットはつるつる頭の黒田清隆の若い頃の写真。彼ってお医者とかだったんですかね?

◆宝文館出版「奥羽の幕末」山田野理夫1000円 

気になった目次買い。世良修蔵とからす組と会津落城、五稜郭戦争。五稜郭戦争の項では片山楽天の「五稜郭史」という本から榎本武楊との問答が抜粋されて載っている。片山楽天は松前藩士だったそうだ。この本によると田中蕭村という人の「衝鋒隊戦史」という本があるみたいだ。探さねば。

◆大陸書房「幕末戦記」永岡慶之助2000円 

プレミア値段だったが彰義隊と奥羽越列藩同盟中心の本だったので買ってみた。特に目立った史料はなし。

◆新人物往来社「戊辰東北戦争」坂本守正1500円 

慶応四年の清川での戦いに始まり酒井玄蕃さまの進撃のもようが書かれている。図説も多いので酒井忠篤様&玄蕃様ファンには必読かもしれない。坂本先生は山形の人。一級史料「戊辰庄内戦争録」をリュックに入れて古戦場を巡礼して廻ったそうな。本の後書きに庄内の史料一覧が載っているので参考に本を集めようと思う。坂本先生は「戊辰庄内戦争録」の口語訳「ああ七星の旗は往く「庄内戊辰戦争録」を読む」を荘内日報に連載されていたという。ううむ、読んでみたい〜。

◆吉川弘文館「人物叢書 荒井郁之助」原田朗600円 

このシリーズは本やさんでよくみかけるのだが、荒井先生のを見たのははじめて。先生がどんな人かさっぱりわからず、「ああ、あの土方さんとよく一緒にいた袖がミツカン味ポンの人ね」程度の知識しかないもので(爆)ちゃんと読もうかと思った。五稜郭での活躍よりも自然科学者としてのほうが有名みたいです。メートル法の導入とか初代中央気象台長だそうです。お天気叔父さんだったのか、先生!!

◆民友社「幕府衰亡論」福地源一郎1800円 

あの、慶喜さんの御典医だったという福地櫻痴先生の著書。再版で1円50銭。ううむ、なんだか安い気がするってことは別にどこかからきれいな本が出てるのでしょうな??幕末当時の人の書いたものは貴重な史料になるし、読んでおかなければ。
余談、櫻痴先生は孝明天皇様が崩御あそばされたときにこれは病死、と判定されたようですが…なもんで、いろいろと慶喜さんにも疑惑が…むにゃむにゃ…
2001.1.15

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